EVENT
キム・ハクの写真は記憶をたどる旅である。その旅は苦しみを呼び覚ましながらも、深い寛容と優しさに満ちている。
―リティ・パン(『生きる III』序文より)―
2022年8月から9月にかけ、東京・南青山「スパイラルガーデン」と、神奈川・黄金町「高架下スタジオ Site-Aギャラリー」で開催した、カンボジアのアーティスト キム・ハクによる写真展「生きる IV」。
1970年代からのカンボジアの内戦を逃れ日本に暮らすカンボジアルーツの人々の所持品を撮影した写真と文章による作品約40点は、暗い過去に埋もれた個人の物語に光を当て、歴史を生き抜いた人間のたくましさや希望の力、未来へつなぐ重要性ときっかけを見る人に強烈に提示し、大きな反響を呼びました。
この昨年の反響を受け、今年はカンボジア・プノンペンを拠点に活動するキュレーターのメタ・モエンを迎え未発表の作品を加えた写真展をアソビルで開催。
またカンボジア内戦を生き抜いた家族の実情により深く触れることのできるパブリックプログラム、書籍の再販も行うなど、パワーアップした企画として戻ってきます。
開催概要
展覧会タイトル
キム・ハク「生きる IV」 キュレーター メタ・モエン
会場
YOKOHAMA COAST ROOM3
神奈川県横浜市西区高島2-14-9アソビル 2F
期間
2023年6月24日(土)〜7月9日(日)10:00-19:00
※ただし非公開パブリックプログラム開催時(7月2日(日)13:00-18:00)は観覧を一時休止します。詳しくは展覧会ウェブページをご覧ください。
展覧会ウェブページ:https://www.facebook.com/KimHak.Alive4/about_contact_and_basic_info
料金
無料
パブリック・プログラム
- 6月24日(土)15:00-17:00 一般公開
「セッション1:現代アートと文化:カンボジア内戦後の新しいイメージとインスピレーションの構築」
スピーカー:キム・ハク(本展アーティスト)、メタ・モエン(キュレーター)、 ダネット・サン(ドキュメンタリー映像作家)、リノ・ブット (アートコレクティブSa Sa Arts ※オンライン参加)、スオン・ソクロ(考古学者、教授 ※オンライン参加)
各スピーカーが、これまでの活動や戦後のカンボジアにおける新しいイメージの創造と重要な着想のための役割について話します。
- 6月25日(日) 12:00-18:00一般公開
「セッション2:生きる IV作品の対話型鑑賞:日本社会の課題・個人の体験について」
「生きる IV」からいくつかの作品を選び、見て感じて連想したこと、考えたことなど鑑賞者同士の「気づき」の輪を、対話を通して広げていきます。
ファシリテーター:
板東美都子:一般社団法人「みるを楽しむ!アートナビ岡山」理事。2007より岡山県立美術館対話型鑑賞体験ツアースタッフとして活動。
森弥生:一般社団法人「みるを楽しむ!アートナビ岡山」社員。2006より岡山県立美術館対話型鑑賞体験ツアースタッフとして活動。2016より岡山大学教養課程において対話型鑑賞をベースとした芸術知講座を開講している。
- 7月1日(土)11:00-13:00一般公開
「セッション3:カンボジア難民の人生の後期と家族の関わり〜自分らしく老年期を過ごすための模索〜」
カンボジアルーツをもつ1.5世代は親の決断や母国で余生を過ごしたいなどの思いをどのように引き受けたのか、またそれに伴う悩み、生活費や医療問題、さまざまな障壁などについてインタビュー動画やアンケート集計資料などを紹介し、環境改善の糸口を探ります。
- 7月9日(日)13:00-15:00一般公開
「セッション4:異文化社会における知的文化財の保護と継承・発展」
10代で来日した方が目の当たりにした当初のコミュニティの様子をヒアリングし、文化伝承に至る思いを聞きながら、第1世代と1.5世代の対話セッションを行います。またフランスの文化伝承の事例を紹介しながら日本でできることを考えます。
パブリック・プログラム申し込み方法
下記よりお申込みください。
https://forms.gle/bTCgM7PeXVEvc1Bd8
公式アカウント
https://www.facebook.com/KimHak.Alive4/
https://www.instagram.com/kimhakaliveiv/
一般のお客様お問合せ先
Mail: alive.jp2023@gmail.com
主催:Alive
協力:Rei Foundation Limited
Alive IV制作協力:国際交流基金
プロフィール
アーティスト キム・ハク(1981年生まれ)
カンボジアの北西部に位置するバッタンバン市出身。
クメール・ルージュ政権崩壊の2 年後に生まれ、両親から当時の記憶を聞いて育つ。クメール・ルージュ政権前後のカンボジアの社会史を記憶・再生・再解釈するプロジェクト「生きる」 をはじめ、土地や建物の記憶や変化する祖国の風景を撮影して記録し、カンボジアの政治的文化的構造に関連するテーマを探求している。
これまで東南アジア、中央アジア、ヨーロッパ、オセアニア、アメリカで個展を行うほか、世界各地の国際写真フェスティバルや展覧会にも多数参加。「生きる」はカンボジア、オーストラリア、ニュージーランドで制作展示され、アジア、ヨーロッパ、アメリカの都市で紹介されている。
主な展覧会:Photo Quai(パリ、フランス/2011)、World Event Young Artists(ノッティンガム、UK/2012)、OFF_festival Bratislava(ブラチスラバ、スロバキア/2014)、国際写真フェスティバル(シンガポール/2012)、国際マルチメディア・アートフェスティバル(ヤンゴン、ミャンマー/2012)、ASEAN Eye Culture(バンコク、タイ/2014)、フォト・プノンペン(プノンペン、カンボジア/2015, 2017)、アンコール・フォトフェスティバル(シェムリアップ、カンボジア/2014)、フォト・サンジェルマン(パリ、フランス/2017)、オークランド写真フェスティバル(オークランド、ニュージーランド/2017)、第二回フォト・カトマンドゥ(カトマンドゥ、ネパール/2016)ほか多数。
ケ・ブランリー美術館「レジデンスプログラム賞」(パリ、フランス/2011)、「ストリームフォト・アジア」2位(バンコク、タイ/2012)、The Advisor紙「 Best of Phnom Penh」ベストアーティスト(プノンペン、カンボジア/2012)。写真集に『UNITY』(2013)、『生きる III』(2018)がある。「生きる III」はオークランド戦争記念博物館に所蔵された。 https://www.kimhak.com/biography/